リスティング広告の登録商標について
※2013/09/18追記の部分、加筆しました。
そんなに頻繁にある事ではありませんが、たまにリスティング広告における登録商標の取り扱いについてのご相談をいただく事があります。
「自社の登録商標であるサービス名で検索するとリスティング広告が出てくる!」といった場合には、Yahoo!広告、Google広告共に要件を満たしていてきちんとした手続きをする事で競合他社の広告を中止させる事が出来ます。
まず、Yahoo!広告の掲載ガイドラインには「掲載できない広告」というところに以下のような記述があります。
(2) 著作権や商標権等の知的財産権を侵害するもの
また「登録商標について」というところには
当社は、広告主との間に締結する広告掲載契約において、広告掲載申込みに際しては、他者の商標権を侵害しないことを申込者が保証することを条件としています。そのため、独自に当社が発見した場合、または商標権者からの指摘があった場合には、社内で確認の上、不適当な広告については掲載を中止する等の措置を可能な限り迅速に行っております。
と書いてあります。
商標の権利を持っている人が、自分の権利を侵害している広告を発見した場合、その登録商標の権利を示す資料を郵送し、異議を申し立てることが出来ます。
そこでYahoo!側で再度確認を行い、不適当な広告だと判断されれば権利を侵害している広告の掲載を中止することができます。
ただ不適当な広告だと思われるものについては、申し立てをすれば必ず掲載中止に出来るというものではなく、不適当だと判断した場合のみ掲載中止にすることが出来るという事みたいですね。
Google広告にも同様に以下のようなガイドラインが存在します。
商標権者様が AdWords 広告での商標の使用に関して Google に申し立てを行う場合は、Google が調査し、AdWords 広告やキーワードにおけるその商標の使用について一定の制限を課す場合があります。
Google広告のガイドラインには、広告テキスト内の登録商標の使用については制限(掲載中止など)をかけるが、キーワードでの使用については制限、調査は行わないと書いてあります。
Yahoo!広告についても、「自身の登録商標を他者が入札しているという行為だけをもって商標権侵害は成立しません」と書いてあります。
自分の登録商標権の侵害を見つけたとき、Google広告の場合では「商標権侵害フォーム」から申請を行うことで対策を行うことが出来ます。
その申し立てを行った後は、商標登録権を持っている人のアカウントでも商標使用の許諾をもらわないと広告掲載することが出来なくなるので「商標使用許諾フォーム」から申請をして、自社の広告に使用することが出来るようになります。
Yahoo!広告、Google広告共に申請から広告掲載中止などの措置までの期間は、その申請内容によって変わるため明記されていませんが、私が以前関わらせていただいたものについては、Yahoo!、Google共に1週間もかからないで回答をいただく事が出来ました。
自身の商標権を侵害されている場合、こういった上記のような解決方法がありますが、デリケートな問題なので当事者間で解決できるのであれば話し合い解決するというほうが良いのかもしれませんね。
以上の話とは逆に「あの競合他社のブランド名をキーワードで入札したらどうか?」というようなご相談もいただく事があります。
「商標登録されているのであればしょうがないが、商標登録されていないのであれば出稿してもいいじゃないか!」と考える方もいらっしゃると思いますが、その点は商標登録のある、なしに関係なく、効果的なのかどうかという点から判断したほうが良いと思います。
追記:他社で商標登録されているものを自社の広告として使用していた場合、その商標が登録されていたのか知らなかったとしても、また今まで使えていたとしても、あとから商標登録権を持っている人から使用の差し止めと損害賠償請求をされる恐れがあります。
そういったリスクも踏まえて使用する/しないの判断をしていく必要がありますが、商標登録されているとわかっているものを広告に使用するのはトラブルの原因になりますのでハッキリ言ってお薦めは致しません。
ちなみに、商標登録されているのかどうかというのは特許庁のウェブサイト内にある電子図書館という所から調べる事が出来ます。
株式会社アイエムシー 大塚雅智