薬事法の改正により医薬品のネット販売が正式に解禁?
今年の1月に医薬品や健康食品を販売するケンコーコムが比較的副作用のリスクの高いとされる第一類、第二類医薬品のネット販売を再開しました。
平成21年の薬事法改正により一般市販薬が第一類、第二類、第三類と分類され、その薬事法には対面販売の義務やネット販売の禁止などは一切明示されていないにもかかわらず、第一類、第二類医薬品のネット販売を厚生労働省令で原則禁止した事により行われた裁判で、ネット販売の規制に違法性はないという国の上告が棄却され、事実上、第一類、第二類医薬品のネット販売が解禁されたという流れでした。
その後、新しくネット販売について薬事法を改正しようという流れになり、先日、ネット販売業者に一定のルールを与えてネット販売を許可する、新たな薬事法改正案が閣議決定されました。
これにより、医薬品のネット販売に正式なルールが出来てしまうので、今までよりもネットでの医薬品販売が難しくなるのではないかと心配している方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的には今回の改正案では、一定の条件をクリアする事が出来れば、現在1万以上ある一般医薬品のうちの99%以上でネット販売が可能になるという事です。
今回の改正案でネット販売が禁止となる医薬品は、医療用医薬品(処方薬)から一般医薬品に転用されてまだ3年以内の医薬品と、第一類医薬品の中にある劇薬に指定されている5品目だけです。
なので、今までネットでの医薬品販売をされていた方は特に影響はなさそうだという事が言えます。
また、ネットで医薬品を販売する業者に対する一定の条件というのは、大量販売やオークションでの販売は禁止、という事。
さらに厚生労働省が販売のルールとして、最低1店舗、週30時間以上の対面販売を基め、ネット販売は注文から梱包は全てその実店舗でのみ認めるというルールを作るとの事です。
もちろん一定のルールが定められますが、正式に薬事法で医薬品のネット販売が解禁となるので、業界は今後活性化されていくのではないかと思います。
リスティング広告においても、現在でも既にケンコーコムを筆頭に医薬品の広告を出している所は結構ありますよね。
正式にネット販売が認められれば今後さらにネットで販売する企業が増えてくることが予想されますので、今後はいかに付加価値を付けていけるのか、他社との違いはどこなのかという事をうまく見せていくよう力を入れていかなくてはいけませんね。
また従来通り対面販売を行う薬局も場合によっては比較の対象となるので、そういった所も考えていく必要があるかもしれません。
ただ、この医薬品のネット販売をめぐる問題は、元々安全性は担保できるのか、とか、医薬品のネット販売を以前から認めている他の国でも問題となっている偽医薬品の事などが原因にあります。
そういった問題は、今後正式に解禁された後に出てくると思いますので、そうならないために、厚生労働省が主体となってルールの徹底や監視を強化していくとの事です。
また今回の薬事法の問題、一般市販薬のネット販売解禁の先に「医療用医薬品(処方箋薬)」をどうするか、という問題も議論になっています。実際に、ケンコーコムはこの処方箋薬のネット販売について、先日訴訟を起こしましたよね。
今回の改正案では一般市販薬はネット販売が解禁されますが、処方箋薬については対面が必要だという事でネットでの販売が禁止となるため、ネットでの薬の販売を推進している企業では今後、この処方箋薬のネット販売解禁に向けて動きが活発になることが予想されます。
ちなみに、この薬事法改正案はまだ本決まりというわけではありませんが、このままいくと来年の春には上記のとおり薬事法が改正されるという事だそうです。
株式会社アイエムシー 大塚雅智