Yahoo!広告 変更になった医療関係の広告掲載ガイドラインで気を付けるべき点
以前このコラムでも書きましたが、昨年11月に、Yahoo!広告より「医療広告ガイドラインの更新に伴う、広告掲載ガイドライン変更のお知らせ」というものが発表されました。
リスティング広告では歯科医院や美容整形などはかなり競争が激しい業界ですよね。そういった医療関係の広告を出稿している方にとって、今回の広告掲載ガイドラインの変更は無視できない問題かもしれませんね。
この度、厚生労働省による医療広告ガイドラインが新しく更新された事に伴い、Yahoo!広告の掲載ガイドラインの医療関係の所がそれに合わせ変更になったというもので、2014年1月6日から、新しい掲載ガイドラインが適用されています。(既に承認済みのものは2014年2月3日から順次適用)
今回の医療広告ガイドラインの更新に伴う、Yahoo!広告掲載ガイドラインの変更箇所とは新たに以下の文言が追加されただけのものでした。
(5)医療法および医療広告ガイドラインで規定されている内容を遵守していること
この部分だけの変更と聞くと、「あまり変更がないな~」とか「今まで通りで大丈夫だ~」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、「医療広告ガイドライン」の中を見てみると、今までのものを変更しなくてはいけない点が結構ある事に気が付きます。
「医療広告ガイドライン」厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/kokokukisei/dl/shishin.pdf
この今回の厚生労働省の医療広告ガイドラインの変更は、医業や診療所の広告を患者の保護という観点から制限していたものを、患者やその家族が自分の病状に合った適切な診療機関を、より選択可能にするものとして、広告可能な範囲を拡大するためのものです。
この医療広告ガイドラインでは、以下の3つに該当するものが広告として定義されています。
広告の定義
1、患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)
2、医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
3、一般人が認知できる状態にあること(認知性)
医療広告ガイドラインでは、「ウェブサイトは従来より、情報提供や広報として扱ってきており、引き続き、原則として広告としては扱われない」と記載がありますが、バナー広告やリスティング広告でキーワードを検索し出てくる広告について、実質的に「広告の定義」の1~3に該当する場合には広告のリンク先にしてあるウェブサイトも広告として取り扱うと記載してあります。
病気名などのキーワードを入札し、リスティング広告を活用している場合には、基本的にウェブサイトも広告として扱われるため、この医療広告ガイドラインに沿ったものにしないといけないという事です。
この医療広告ガイドラインですが、リンク先を見てみると小さい字で46枚もあるため、最初から最後まで読むのはかなり疲れてしまいますので、広告出来ないものの具体例として記載のあるものを抜粋しましたので、確認してみてください。
■禁止される広告
1、広告が可能とされていない事項の広告
例)
・専門外来
→広告が可能な診療科目名と誤認を与える事項であり、広告可能な事項ではない。(ただし、保険診療や健康診査等の広告可能な範囲であれば広告は可能)
・死亡率、術後生存率等
→ 対象となった患者の状態等による影響も大きく、適切な選択に資する情報であるとの評価がなされる段階にはないから、広告可能な事項ではない。
・未承認医薬品(海外の医薬品やいわゆる健康食品等)による治療の内容
→ 未承認医薬品による治療は、広告可能な事項ではない。
・著名人も当院で治療を受けております。
→ 優良誤認(他の医療機関より著しく優れているとの誤認)を与える恐れがあり、芸能人等が受診している旨は、事実であっても、広告可能な事項ではない。
2、内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)
例)
・絶対安全な手術です!
→ 絶対安全な手術は、医学上あり得ないので、虚偽広告として扱う。
・厚生労働省の認可した○○専門医
→ 専門医の資格認定は、学会が実施するものであり、厚生労働省が認可した資格ではない。
3、他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較広告)
事実であったとしても、優秀性について、著しく誤認を与えるおそれがあるために禁止されるものであり、例えば、「日本一」、「No1」、「最高」等の表現は、客観的な事実であったとしても、禁止される表現に該当すること。
例)
・肝臓がんの治療では、日本有数の実績を有する病院です。
・当院は県内一の医師数を誇ります。
・本グループは全国に展開し、最高の医療を広く国民に提供しております。
4、誇大な広告(誇大広告)
例)
・知事の許可を取得した病院です!(「許可」を強調表示する事例)
・医師数○名(○年○月現在)
・(美容外科の自由診療の際の費用として)顔面の○○術 1カ所○○円
5、客観的事実であることを証明することができない内容の広告
例)
・患者の体験談の紹介
→ 患者の体験談の記述内容が、広告が可能な範囲であっても、患者の主観であり、広告は認められない。
・理想的な医療提供環境です。
→ 「理想的」であるかは、客観的な証明はできないことから、広告は認められない。
・比較的安全な手術です。
→ 何と比較して安全であるか不明であり、客観的な事実と証明できない事項に当たる。
・伝聞や科学的根拠に乏しい情報の引用
→ 医学的・科学的な根拠に乏しい文献やテレビの健康番組での紹介による治療や生活改善法等の紹介は、それらだけをもっては客観的な事実であるとは証明できない事項として扱うべきであり、広告は認められない。
6、公序良俗に反する内容の広告
省令第1条の9第4号に規定する「公の秩序又は善良の風俗に反する内容の広告」
とは、わいせつ若しくは残虐な図画や映像又は差別を助長する表現等を使用した広
告など、公序良俗に反する内容の広告を意味するものであり、医療に関する広告と
しては認められないこと。
7、その他
ア 品位を損ねる内容の広告
・費用を強調した広告
例)
今なら○円でキャンペーン実施中!
・ふざけたもの、ドタバタ的な表現による広告
イ 他法令又は他法令に関する広告ガイドラインで禁止される内容の広告
例)
・医薬品「○○錠」を処方できます。
→ 医薬品の商品名は、薬事法の広告規制の趣旨に鑑み、広告を行わないこと。
・当院ではジェネリック医薬品を採用しております。
→ 医薬品が特定されないため、薬事法上の医薬品の広告には該当せず、医療の内容に関する事項として広告可能である。
・ED治療薬を取り扱っております。
→ 医薬品が特定されないため、自由診療である旨と標準的な費用を併せて示してあれば、薬事法の承認を得た医薬品による治療の内容に関する事項として広告可能である。
以上、広告が可能とされていない広告の抜粋でした。
厚生労働省の医療広告ガイドラインには、これら以外にも診療科目の表記の仕方など、細かく規定があるものもありますし、上で記載した禁止されている広告であったとしても、例外として認められる広告もあります。
こうして見てみると、掲載ガイドラインに抵触するウェブサイトはたくさんあるような気がしますね。
今までリスティング広告を出稿出来ていたとしても、この広告掲載ガイドラインの変更により、2月3日以降、審査でNGとなってしまう可能性も十分ありますので、現在出稿している方は一度ウェブサイトを見直してみると良いかもしれません。
株式会社アイエムシー 大塚雅智