絞っていくべきか、コンバージョンを獲得出来るようにするべきか
リスティング広告は、広告の表示回数からクリック数から、お問い合わせ完了や購入完了というように目標ページにどれだけ達したのか(コンバージョン数)、その1件あたりの獲得コストはいくらだったのか、など配信結果から広告効果まで全て数値として計測出来る広告媒体です。
他の広告媒体であれば、例えばチラシであれば何枚配ったのかはわかっても、実際にその内容を読んでもらえているのか、そのチラシからの反響は何件なのかという事は正確に測ることが出来ません。(やり方にもよりますが)
もちろん、数値として全て出てくるという事は、広告がうまくいっていなかった場合や、さらに効果を伸ばそうと考えた時などには、どこがいけなかったのかという問題点を発見する事も出来ますし、その問題点に対しての対処法も明確になるので、運用しやすいと言えばしやすいですよね。
ただ裏を返せば、リスティング広告を運用する人間というのは、この全て出てくる数値と、日々シビアに戦っていかなければいけない訳です。
そのため、コンバージョン数と1件あたりの獲得コスト(CPA)に対してはかなり敏感になっているのだと思います。
リスティング広告を運用する時には、必ず目標値を設定しますが、1件あたりの獲得コストをリスティング広告の運用目標にしている方もいらっしゃいますよね。
ですが、1件あたりの獲得コストを抑えることだけを考えてしまい、結果としてコンバージョン数が少なくなってしまったというのでは、あまり意味がありません。
仮に予算を30万円と設定しリスティング広告を開始した場合、コンバージョン数30件、1件あたりの獲得コスト1万円という結果になりました。
この状況で「1件あたりの獲得コストはもう少し下げたいな」と考えた場合、改善策としてはざっくり2つありますよね。
1つは「パフォーマンスのよくないキーワードを配信停止にしてしまう」という方法と、もう1つは「パフォーマンスのよくないキーワードを、効率良くコンバージョンが獲得出来るように改善する」という方法です。
1つ目のコンバージョンが獲れていないキーワードや1件あたりの獲得コストが高い、パフォーマンスの低いキーワードへの広告配信を停止するという方法をする事で、今までパフォーマンスの良くなかったキーワードで使っていた広告費がなくなる訳ですから、自然とアカウント全体のパフォーマンスは上がります。
ただここで気を付けなければいけないのが、「コンバージョン数をきちんと確保できているかどうか」という問題です。
1件あたりの獲得コストを半分に出来たけど、コンバージョン数も半分になってしまった、なんて事にもなりかねません。
もちろんそれが一概に悪いことだというわけではありませんし、その時の考えにもより変わってくるのだと思いますが、「事業の売上を上げていく」という目的があったとしたら、コンバージョン数が半分になると売上も下がる結果に繋がりますよね。
そうならないために、先程の2つ目である、まずパフォーマンスのよくないキーワードを停止してしまうのではなく、「どうやったら効率良くコンバージョンを獲得出来るのか」という所から考えていかなければいけません。
具体的には、ランディングページの文言やコンテンツを変えてみたり、広告文を変えてみたり、掲載順位を見直してみたりと、コンバージョン率を上げるための施策を考えます。
また、入札価格を下げることで1件あたりの獲得コストを下げる事が出来るかもしれませんし、ターゲティング設定で配信先や配信頻度を絞るという事も考えられるかもしれません。
パフォーマンスのよくないキーワードを配信停止にする事は、ある意味簡単な施策です。停止にしてしまえばいいだけですから。
ただ、停止にしてしまったらそこから先には進みませんし、コンバージョン数が足りないからと、また新しい切り口のキーワードに挑むといっても、そう簡単に新しいコンバージョンが獲得出来るものでもありません。
最初のキーワード選定の時には「このキーワードはコンバージョンが獲れるキーワードだ」と思って選んでいるんだと思いますので、効果が出なかったからといってすぐに配信停止にしてしまうのではなく、まずは、どうしたら効率良くコンバージョンが獲得出来るキーワードになるか?という所から考えていくとより良い改善が出来るのではないかと思います。
株式会社アイエムシー 大塚雅智