広告費を少額ではじめる際のデメリット
このコラムでも以前、「リスティング広告は少額から始めてもOK」というような内容の記事を書いたと思います。
リスティング広告の特長の一つに、「予算を自由にコントロールする事が出来る」というものがあります。
これは月間のリスティング広告費を、例えば、今月は30万円、来月は50万円、その次の月は10万円・・・というように、月間に決まった広告費がかかるというものではなく、広告主側で「今月は閑散期だから、広告から集客を強めよう」とか、「来月は繁忙期だし、お問合わせが来ても、仕事を受け切れないから少なめにしよう」というようにコントロールする事が出来るという事です。
月間でなくても、1日単位で予算額を調整する事も出来ます。
なので、リスティング広告を導入する際も「まずは少額から始めてみたらどうですか?」という話を聞いた方もいらっしゃるかもしれませんね。
私自身、少額でリスティング広告を始める事に対しては、決して悪いことではないと思いますし、反対はしませんが、それが最善の策か?と聞かれたらNoと答えます。
リスティング広告の予算は、初めのうちほど多いに越したことが無いと思っています。
広告予算を効果の高い部分に集中投下していくことで、リスティング広告の改善結果である広告予算内でのコンバージョン数の最大化や1件あたりの獲得コストを下げていく事が出来ます。
そういった施策をするためには、まず「どこが効果が高いのか?」を知ることから始めなければいけません。
どこが効果が高いのかと確認するためには、きちんとした効果測定をしなくてはいけませんが、この効果測定の際も、予算が少ない=クリック数やその他のデータが少ないため、きちんと比較できるデータが揃うまでに時間がかかったり、もし時間をかけず、少ないデータを元に改善をしてしまったら、そのデータが「たまたまのデータだった」という可能性も捨てきれませんよね。
そうすると、パフォーマンスを上げるための改善が出来るようになるまで、結局時間がかかってしまう事もあります。
また予算が少ないと、「インプレッションの損失」が発生します。これは広告が表示される機会があったにもかかわらず、予算額が低いため、自動的に抑えられ広告が表示されない事です。
インプレッションの損失率が高くなると、データ自体の信用度も低くはなるため、同じようにパフォーマンスを上げるための改善をするまでの時間がかかってしまいます。
そのインプレッションの損失をなるべく出さないように、キーワード数を減らして、少ないキーワード数で運用をしよう!と考えても、先程も書いたように「広告予算を効果の高い部分に集中投下していくこと」でリスティング広告の効果が上がるので、最初のうちにキーワードを絞り込むというのは、「一か八か、この部分に賭けてみよう」というのと同じです。
「外れたら、また別の切り口を試していけばいいか」という風に思うのかもしれませんが、それも同じように成果が出るまでの時間を長くさせてしまう事にもなりますよね。
早めに成果を上げたいのであれば、順番としては逆で、最初は幅広く、色々な切り口のキーワードを試し、その後、徐々に絞っていくという考え方のほうが、リスティング広告がうまくいく可能性が高まりますし、そのスピードも速くなります。
まだリスティング広告を導入した事が無い方にとって、いきなり「多額な広告を使ったほうがいいよ」と言われても躊躇してしまう気持ちもわかります。
特にリスティング広告は「いくら」という金額が決まっていないですし、それこそ1万円でも5,000円でも始める事が出来るなんて聞いたら、「最初は少額から」という気持ちになるのも無理はありません。
「まずは少額であったとしても始めてみる」、という気持ちももちろん大事だと思いますが、少額で始めることで被るデメリットも理解した上で、きちんと判断しなければいけないのだと思います。
株式会社アイエムシー 大塚雅智