業界の常識がターゲットの常識とは限らない
普段、リスティング広告を出稿したいという方へ、リスティング広告の説明に伺う際には、相手の方の理解度に合わせて説明するように心がけています。
ある程度知っている方や、今までリスティング広告の運用をおこなった事のある方などに対しては、場合によって「CPC」とか「CPA」とか所謂専門用語を交えながら話したりしますが、「リスティング広告は全然詳しくない」という方に対しては、「クリック単価」、「1件あたりの獲得コスト」というように、専門用語は使わずに、なるべく理解してもらえるような説明をしています。
ですが話を進めてみると、こちらが思っている以上にリスティング広告の事を知らない方もいらっしゃいます。
例えば、リスティング広告を始めようかという話になった時に、相手の方から「じゃあ、キーワードは何にしようか」という言葉が出てきた時。
「○○もいいけど、△△も捨てがたい・・・」と迷っている相手の方がいらっしゃって、「○○も△△も核となるキーワードだと思うので、それらをメインに掛け合わせていきましょう」とお話しても、相手の方は「???」となる。
こっちも何が???なのか解からず、???となる。
その後の話で、相手の方は「○○」と「△△」のどちらかしか出稿することができないと勘違いしていたため、私との話が理解できなかったようです。
リスティング広告を運用している人間からすると、数十、数百、数千キーワードを出稿することが常識で、1つ、2つのキーワードだけ運用するという事はありませんし、考えることもしませんよね。
もちろん広告予算であったりキーワードの入札額にもよりますが、複数のキーワードで検索結果の上位に表示される事はあたり前なので、最初の段階でわざわざ一つのキーワードに絞ろうという考えには至りません。
ですが、その方は以前にSEO対策をやっていたのか、なんなのかわかりませんが、キーワードは1つくらいしか選ぶことが出来ないと考えていたみたいです。
このように、こちら側が常識だと思っている事でも、相手の方からすると常識ではなかった、という事はリスティング広告を運用していると、業種を問わず、様々な場面で見ることが出来ます。
専門用語ばかりをリスティング広告のキーワードとして出稿していたり、広告文も全くの素人が見たら、なにがなんだかわからないようなものにしていたり・・・。
キーワードと広告文までは理解できる内容なのに、広告のリンク先ページには、やっぱり何が書いているのか理解できないというものだったり・・・。
もちろん、そういった「層」を狙って、キーワードの選定や広告文作りをしているのであれば、ターゲットユーザーをふるいにかけるという意味で良いのかもしれませんが、そういった意図がない場合、一般的ではないキーワードなので広告の表示回数も少ないですし、広告文が表示されても理解されないため、見向きされないという事にもなりかねません。
また、せっかく検索をしてクリックしてもらえても、広告のリンク先ページでサービスや商品の事を理解することが出来なければお問い合わせや購入に繋がる可能性はかなり低くなりますよね。
そうならないために、キーワードを選定する際や広告文を作る際、ウェブサイトのコンテンツを作る際には、ひとまず業界の常識などは捨てて、「狙っていくターゲットユーザーの商品やサービスに対する理解度はどれくらいなのか」という事を考えていく必要があると思います。
この作業、こうやって書くだけなら簡単そうに見えるかもしれませんが、実際にやってみると非常に難しい作業ですので、色々な人の意見を聞いてみたり、場合によっては、社内や業界内だけの話ではなく、その商品やサービスの素人である第三者の意見を聞いたりすることも有効だと思います。
株式会社アイエムシー 大塚雅智