角度を変えたレポーティングでパフォーマンスを改善する
リスティング広告は色々なデータを確認する事が出来ますよね。
広告の基本的な配信結果はもちろん、コンバージョンなど広告の成果に関する部分も見ることが出来、リスティング広告を運用している担当者の方や広告主の方々は、その頻度はまちまちだと思いますが、月に1回とか週に1回とかレポートとしてデータをまとめて確認していると思います。
これらのデータはただ確認するだけでは意味が無く「運用型広告」の名前のとおり、そのデータから改善策を考え出し施策をしていく事で意味のあるものになっていきます。
こういったレポートについて、リスティング広告の管理画面では本当に様々なデータを見ることが出来るのに、”毎回、同じようなデータばかりを抽出し確認している”方が多いように思いますが、実際のところ自分には必要ないと思えるようなデータでも、改善施策に役立てることが出来る事も少なくはありません。
例えば、「時間帯レポート」。
時間別にターゲティングしていない方は、「どうせ全部の時間帯に出しているから関係ない」と思われている方も多いですし、時間帯でターゲティングしている方も、「どうせ自分は1日のうち3時間しか出していないから」などの理由で確認していないケースがあります。
ですが、時間帯レポートで意外な「穴」を見つけて、コンバージョン数の増大や1件あたりの獲得コストの大幅な改善が出来た事例があります。
あるECサイトで、毎日23時~5時までの時間帯だけ広告配信しているサイトがありました。
商材的にも夜間のほうが売れるから、という判断でこの時間帯だけに設定していたのですが、この広告主の方も1日に6時間しか出稿していなかったので(時間帯で最適化する気が無かったので)、今まで時間帯レポートを確認することはなかったようですが、確認してみると、意外なことがわかりました。
23時~5時で出していて、「0時~2時くらいの間が一番コンバージョンが多く、効率も良いのでは?」と考えていたのですが、実際には『23時~0時』のあいだが最もコンバージョン率が高く1件あたりの獲得コストが安かった事がわかったんです。
色々と考えてみたのですが、ターゲットユーザー(検索をする人)は23時~0時という時間帯にも多く居たという事がわかり、さらに競合他社も比較的多い業界なのですが、その時間帯に”1日の予算が切れている”他社が複数あったのか掲載順位が上がっている事などデータから読み取ることが出来ました。
これらを元に、「だとしたらその時間帯の入札価格を上げてさらに上位掲載させると共に、その直前の時間帯(22時~23時)はどうなんだ?」という事で、入札価格を他に時間帯よりも高めに設定し、さらに22時~23時の時間帯にも広告出稿を始めてみたら、この施策がハマった、なんて例もありました。
競合他社も深夜帯(0時~2時)を狙っているところが多いらしく、メインの時間帯だと考えていた0時~2時はコンバージョンはそこそこ取れますが、1件あたりの獲得コストも高く、効率が良いとは言えませんでした。
ですが、その前の時間帯(22時~0時)で効率よくコンバージョンが取れるようになったので、施策前と比べてキャンペーン全体で1件あたりの獲得コストは55%減、コンバージョン率44%増という結果となりました。
上記の例のように、普段はあまり見ていない数値や指標でも、切り口を変えてみたり考え方や発想次第で、アカウントに大きく影響を与える施策のヒントになる事もあります。
リスティング広告の改善を進めていきたいと考えている方は、ぜひ一度、いろいろな角度から数値を見てみてください。
株式会社アイエムシー 大塚雅智