何の考えもなしに絞り込むのは危険
リスティング広告を運用する際に、その成果の指標として「コンバージョン率」、「1件あたりの獲得コスト」を重視する方も多いですよね。
多いというか、これらの数値を気にしないでリスティング広告を運用する方はごくごく少数でほとんどの方は気にしている数値だと思います。
このコンバージョン率や1件あたりの獲得コストを改善するための手法の一つに「絞り込み」というものがあります。
コンバージョン率の高いキーワードや1件あたりの獲得コストの低いキーワードに”絞り込んで”予算をその部分に集中投下するというもので、それ以前はクリックされていてもコンバージョンにならなかった、またはコンバージョン率が低かったキーワードへの広告配信を停止し、その分(予算)をコンバージョン率の高いものに振り分けるわけなので、コンバージョン率が高くなり、その結果1件あたりの獲得コストも下がるというのは、理屈としては非常によくわかりますよね。
キーワードのみならず、地域だったり時間帯だったり曜日だったりと、コンバージョン率の高い部分に集中投下すると、同じような効果を得ることが出来、それが所謂「絞り込み」というものです。
このように考えていくと、「なるべく関係のないキーワードへ広告を出稿したくないから」と、キーワードも「部分一致より絞り込み部分一致でしょ」と、初期の段階でもキーワードを全て完全一致や絞り込み部分一致で入札するほうがいいと思う方もいらっしゃいますよね。
その事自体、決して悪いことではないと思いますが、あまりデータの揃っていない段階でそれをやると、思わぬ失敗をするケースもあります。
部分一致は、ユーザーが検索する検索クエリに対して幅広く広告を表示させるマッチタイプです。
幅広く広告が表示されるため、少なからず”ターゲットではないユーザー”にも広告が表示されてしまいますので、上記のような「効果的なところに予算を集中投下する」という考え方からすると、もう少し絞り込みたいと考えるようになりますよね。
そのため、絞り込み部分一致など、もう少し幅の狭いマッチタイプを選択してしまうのだと思いますが、部分一致の中には思いもよらないコンバージョンが眠っている事が多々あります。
また、コンバージョンにならないまでも、「どんな検索クエリがあるのか、多いのか」という事がわかり、それが改善の次の一手になるケースも多いです。
特に初期段階だと、どれだけのインプレッション数があるかどうかわかりません。
そんな状態でキーワードのマッチタイプだけ絞り込んでしまうと、広告表示回数が少なく、でも次にどうしたらいいのかわからない、みたいな状態に陥る可能性もあります。
完全一致にしろ、フレーズ一致にしろ、絞り込み部分一致にしろ、広告主側で「広告を表示させたい検索クエリに対してだけ広告を表示させることが出来る」という事に変わりはありませんが、「広告を表示させたいキーワード=ターゲットユーザーの検索クエリ」とは限りません。
実際に運用して見てみるとすごくよくわかりますが、自社で入札しているキーワード以外でのコンバージョンが多いことはよくありますし、そういったキーワードを切り捨てる(コンバージョンを切り捨てる)のは非常にもったいないですよね。
マッチタイプを、完全一致など広告表示範囲の狭いものにするということは「ターゲットを絞り込む」というイメージではなく、「そのキーワードに紐付けている広告文との差異をなくす」というほうがイメージとしては合っているような気がします。(個人的にはですが)
絞り込み部分一致など、マッチタイプを絞り込む事が悪いことではなく、使い方次第でかなり効果的に活用する事が出来ますが、あくまでも「効果的に」活用した時の話で、何の考えもなしに、「ただ絞り込めばいい」とやってしまうのは”失敗の第一歩”という感じで、ちょっと危険に感じます。
株式会社アイエムシー 大塚雅智