広告文はコンバージョンをさせるためのツールではない
リスティング広告を出稿する目的というのは様々だと思いますが、最終的には事業の売り上げを上げるため、という方が多いと思います。
ECサイトであれば、購入完了にコンバージョンを設定している方も多いと思いますので、コンバージョンが売り上げに直結していきますが、BtoBの場合、お問い合わせ完了や資料請求完了など、売り上げを上げるための”中間目標”的な感じでコンバージョンを設定されていると思います。
このコンバージョンに向けた流れというのは、大きく分けてキーワード、広告文、ランディングページと3つの段階がありますよね。
まずキーワードでターゲットユーザーが含まれている大きな括りに対してリーチをしていき、広告文でターゲットユーザーを呼び込んで、ランディングページでコンバージョンをさせる、これがリスティング広告からコンバージョンまでの大まかな流れになり、ここにコンバージョンまでの一貫性を持たせないといけないというわけなのですが、気を付けたいのが「それぞれの役割」です。
「コンバージョンをさせる」という一貫した目標の元に広告文も作っていかなければいけないのは当然のことなのですが、広告文というのはあくまでも”自社にとってお客様になる人(ターゲットユーザー)をウェブサイトへ連れてくるためのツール”であって、厳密に言うと、コンバージョンをさせるためのツールではありません。
なので、広告文に自社の商品やサービスの”売り”となる部分を書き過ぎない方がよいのではないかと思います。
もちろん、ターゲットユーザーを自社のウェブサイトへ連れてくるためには、それなりにエサを撒いておく必要もあると思いますが、ターゲットユーザーには、ウェブサイトに来てもらってから、「ああ、それはいいな」と来訪時の期待値を超える反応をしてもらったほうがコンバージョンなどのアクションには繋がりやすくなるのではないかと考えています。
例えば自社のサービスに会員登録をしたら無料で期間限定のサービスを受ける事が出来る「無料のお試し期間」があったとします。
広告文に「無料」とか書いてあると、ユーザーからするとやっぱり目を引きますので、広告文に「無料お試し期間あり」なんて文言も使ってみたいところですが、この無料のお試し期間をコンバージョンへのフックとして考えているならば、広告文ではあえて使わず、ランディングページにだけ書くと上記のような「ああ、無料ならまずやってみようかな」となるかもしれません。
広告文で無料のお試しがあると知っていると、その頭で来訪するため無料お試し以上の”何か”がなければその期待値は越えられませんが、知らなければ「おお、いいね」と思ってアクションを起こしていただけるはずです。
これもターゲットユーザーに訪問=広告をクリックしてもらわなければ無料お試し期間があるなんてわかりませんので、いかにターゲットユーザーだけを呼び込める広告文を作る事が出来るかどうかというところがある意味腕の見せ所になってくると思いますが、キーワード、広告文、ランディングページとそれぞれの役割をきちんと認識し、さらにリスティング広告で出稿している商品やサービスの長所、短所など全てを深く理解しているのであれば、ターゲットユーザーの誘導からコンバージョンまで、一貫した施策が出来るはずですし、リスティング広告を運用する担当者には運用の実務や知識だけではなく、そういった全ての部分が求められると思います。
株式会社アイエムシー 大塚雅智