その要因に対して仮説を立てる事
リスティング広告で、成果を上げていくテクニックの一つに「絞り込み」というものがあります。
これは効果測定をして効果の高い部分に対して予算を集中投下していくというもので、費用対効果の改善が見込める改善手段の一つです。
コンバージョンの数が取れる、とか、コンバージョン率が高い、とか、一件あたりの獲得コスト(CPA)が低いなどパフォーマンスの良いところへ広告予算を集中する事で今まで以上のコンバージョン数の獲得や、費用対効果の改善などリスティング広告のパフォーマンスを上げていく事が出来ますが、その効果の高いところへの絞り込みを行う際、その数値が良かった理由が”なんとなく”でも解っていればよいですが、なぜだかよく解らないがパフォーマンスがよかったので、その部分に対して絞り込みをおこなっていくというようにやってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そういった時には少しだけ注意が必要です。
コンバージョンが発生する要因は様々あるため、理由もなく絞り込んでいくと結果としてコンバージョンの取りこぼしが発生してしまったり、見当違いの方向に改善が進んでしまったり等とする事があります。
そういった事になるべくならないように、絞り込みをおこなう際には、ただ単に「パフォーマンスがよかったから」という理由だけではなく、ユーザー視点でのコンバージョンの理由なども合わせて要因を考えていく事が大切かもしれません。
訴求内容の違う広告文のA/Bテストやキーワードの検索クエリなどから、ユーザーがどんな状況から、広告文に何を感じてウェブサイトへ訪問したのかなどと、コンバージョンの発生ベースから考えていくと解りやすいかもしれません。
時間別、曜日別でのコンバージョンの違いなどはユーザー行動も想像しやすいので比較的仮説は立てやすいかもしれませんね。
ですが例えば全国で対応しているECサイトを運営していた場合、キーワードや広告文は全て同じなのに、それぞれの地域でコンバージョンに違いが出てきてしまった場合などには、その要因を特定するのが難しいかもしれません。
「コンバージョン数」に関しては検索する母数の違いがあるので差が出たとしてもあまり不思議には思いませんが、コンバージョン率や1件あたりの獲得コストなどに違うが出ている場合、「北海道ではすごく費用対効果がよいのに関西ではあまり費用対効果がよくない」という様な状況になった場合にもきちんと「なぜなのか?」という問いに仮説ででも答えを出しておいたほうがよいと思います。
もちろん、なにも考えずに絞り込んでいったところで、多分その時の数値は良い方向に改善され、一時的には成果も上がっていくのだと思います。
ただその後のリスティング広告を運用していく上で、コンバージョン数が頭打ちになってしまったときや、効果が下がってしまったときなど、数値が良かった理由を考えておくと、コンバージョンの取りこぼしを防止するという事だけではなく、改善施策を考えるときの判断材料の一つとなり、新しい発想に繋がるのではないかと思います。
株式会社アイエムシー 大塚雅智