入札価格の調整率を使うのであればキャンペーンを分けたほうが効果的ではないか
リスティング広告には様々なターゲティングの設定がありますが、そのターゲティングの設定をよりスムーズにおこなうための機能として「入札価格の調整率」というものがあります。
これは同じキャンペーン内、同じ広告グループ内で、ターゲティングの設定によって入札価格を引き上げたり、または逆に引き下げたりするという便利な機能で、一つの設定で様々なターゲットユーザーに適切にリーチをおこなうことが出来る機能です。
例えば、同じキャンペーン内で一都三県のユーザーに対しては入札価格を+50%で配信、だとか、スマホユーザーに対しては-30%の入札価格で広告を配信、などと入札しているキーワードや広告文の設定はそのままで、ターゲティングに合わせて入札価格を変えていくことが出来ます。
これによりリスティング広告の運用担当者は、リスティング広告の設定作業が容易になったというのは言うまでもありませんよね。
入札価格の調整機能がなかった時代には、スマホユーザーへの入札価格をPCの入札価格と変えようと思ったら、また別でキャンペーンを用意して入札価格を変えて……というようにしなければいけなかったので、キーワードの登録だったり広告文の作成だったりで、かなり時間と手間を取られていました。
なので、この入札価格の調整機能が出てからはそういった設定の作業が楽になったと言えるわけですが、この入札価格の調整機能について、従来のキャンペーンをそれぞれ分けて設定するやり方と比べて、新しい機能なのでパフォーマンス的にも優れているんじゃないか?と思ってしまいますが、これは必ずしもそうではありません。
先ほどから書いているとおり、入札価格の調整率というのは様々なターゲットユーザーに対して”比較的簡単に”広告出稿をすることが出来る機能であって、この機能を使えばより多くターゲットユーザーに広告を表示させることが出来るということではないからです。
たしかにスマホユーザーに多く広告を表示させたい場合には、入札価格の調整率をPCやタブレット端末よりも高めに設定しておけばスマホユーザーへの露出は増やせるかもしれません。
ですが、それであればPCとスマホとでキャンペーンを別で分けて、予算も別で管理したほうが露出を増やすという点ではより効果的です。
またコンバージョン数を今後もっと増やしていきたい、1件あたりの獲得コストを下げていきたいなんて考えた時もキャンペーンが分かれているほうが改善はしやすいですよね、 「PCではこのキーワードがパフォーマンス高いけどもスマホでは低いな」なんてケースが出てきたときに改善がかなり容易です。
キーワード単位、広告文単位で効果測定をする場合にも、PCとスマホとで分割して見るよりもキャンペーン別で分かれていたほうが測定した数値が見やすいですし。
PCユーザー、スマホユーザーと検索する目的だったろデバイスの用途が違うため、上記のようなパフォーマンスの違いが出てきても全然不思議ではありません。
もちろん入札価格の調整率を使うのかどうか、どちらがよいかというのはリスティング広告を運用されている方によって変わるのかもしれませんし、やり方次第なのかもしれませんが、中長期的にみるとか入札価格の調整率を使うよりもキャンペーンを分けて管理していったほうが良いのではないかなと思います。
株式会社アイエムシー 大塚雅智