リスティング広告の運用担当者は事業の責任者との意思疎通を
リスティング広告は広告の表示回数やクリック数など、広告の配信結果から、どれくらい販売できたのか、どれくらいお問い合わせを獲得出来たのか、また1回売れるごとにかかった広告費はいくらか、という広告効果まで、全て数値として確認する事が出来る広告です。
これらの数値にはもちろん意味があり、それぞれに改善する方法があるため、明確な数値の目標を立てることで、その目標に向かってリスティング広告を運用していく事が出来ます。
大抵の場合、目標は月の売上が○○万円、そこから逆算してリスティング広告の目標コンバージョン数や1件あたりの獲得コストが出てくるのだと思いますが、コンバージョン数を増やす、1件あたりの獲得コストを下げる、売上を上げるという事だけが目標になるという訳でもありません。(最終的には売上を上げる事が目標なると言えばなりますが・・・)
例えば新商品をリリースし、その商品を販売していこうとするならば、1件あたりの獲得コストが他のものよりも多少高くても、「まずは1つでも多く販売をしていこう」という事になる場合もありますし、在庫を多数抱えてしまっている商品があった場合、それを早く捌くために採算を度外視して販売するというケースもあるからです。
仮に事業の責任者とリスティング広告の担当者が違うという場合、リスティング広告の担当者はそういった細かい事情を把握していないケースもあるため、事業の責任者とリスティング広告の担当者との考え方の違いが出てきてしまい、円滑な販売が出来なくなる事があります。
リスティング広告の担当者は、なるべく費用(広告費)を掛けずに、より多くのコンバージョンを獲得しようと施策していこうとするため、「まずはいくらかかっても1つ売ろう」という考えよりもまず、「売れないならダメージを少なくしよう」と考えてしまいます。
そうすると、元々売れなかった商品が消極的なリスティング広告の運用により、さらに売れなくなってしまう、という結果を引き起こしてしまいます。
こういったケースは稀なのかもしれませんが似たようなケースはよくあることだと思います。
例えば「まずは費用対効果よりも、数を捌こう」と事業の責任者とリスティング広告の担当者が話し合って、従来の目標1件あたりの獲得コストである2,000円を超えても、まずは数を売っていこうと決めたとします。
その時、事業の責任者の心の中は「赤字になってしまうけど1件あたりの獲得コストはいくらかかっても、まずは売ることに専念しよう。1件あたりの獲得コストが5,000円、6,000円くらいになっても構わない」と考えていても、リスティング広告の担当者は「本来、1件あたりの獲得コストは2,000円以内なのだから、2,500円くらいまでかなぁ」と考えて施策をしていくなど・・・。
1件あたりの獲得コストを5,000円までとするのか、それとも2,500円までとするのかで、施策の内容は大きく変わってきますし、結果も(どちらが良い結果となるかは別として)かなり違いが出てきますよね。
「思い切りやれー!」と指示を出したところで、「どこまで」という線引きをしておかないと、消極的な改善や良い意味ではみ出した施策をする事が出来ず、結果として事業の責任者からすると、思っていたような成果が出ない場合もあります。
そうならないために、事業の責任者とリスティング広告の担当者は、そういった細かい事情まで共有し、意思の疎通を図っていかなければいけないのだと思います。
これは企業内の話だけではなく、対代理店との関係でも同じ事が言えますし、代理店の場合、同じ会社内にいるわけではないので、尚更より綿密なコミュニケーションをとる事が必要なのだと思います。
本当であれば事業の責任者、もしくはそれと同等な立場の方がリスティング広告を運用する事が望ましいのかもしれませんが、そればっかりはどうにもならないという企業も多いと思います。
事業を発展させるために、ちょっとした勘違いや考え違いでパフォーマンスを落とさないためには、事業の責任者とリスティング広告の担当者がコミュニケーションをとる事は非常に重要な事だと思います。
株式会社アイエムシー 大塚雅智