経験だけに頼ってはいけない
私は今までに様々な企業のリスティング広告のアカウントを見てきました。
業種、業態も本当に様々で、今までずっと自社で運用をしてきたアカウントもあれば他の代理店が運用をしてきたアカウントなどもあります。
そういったアカウントを見るだけではなく、「どのような運用をしてきたのか」、「どういった目的(目標)で運用をしてきたのか」など、リスティング広告を運用する上での考え方を聞いたりもして、そこから自分ならどうするか、というご提案をさせていただいたりしてきました。
このように数多くのパターンのアカウントや考え方に触れてきたからこそ、様々なアカウントを見て思うのは「決まったパターンは無いのだな」という事です。
もちろん成功事例を真似て成功する方もいらっしゃると思います、ノウハウが書かれた本などのとおりにやっていけばうまくいくというケースもありますよね。
ですけど、そういう成功というのはごく一部で実際には真似てみたけどうまくいかないケースや、以前はうまくいったのに今回はダメだな、みたいなケースの方が多いのではないかとつくづく感じています。
例えば、リスティング広告を改善していくために、一般的にはどんどんPDCA回すのがよいとされていますよね、ですけど、半年スパンとか三ヶ月スパンとかで改善していったほうが、良い結果となるなんてケースもありました。
PDCAなんて早く、ぐるぐる回したほうが良いに決まってますし、半年スパンのほうがうまくいくはずがない事くらいわかっているんですけど、そっちの方が良かったという事も実際にありました。
リスティング広告を運用していくと、どんどんとデータが溜まっていきますので、あたり前ですがデータの量が多ければ多いほど、より精度の高い仮説を立てることが出来ます。
ある施策を実施して、その結果を一週間後に見た時に悪い結果が出ていた場合、もしかしたらその悪い結果は”その施策が原因ではない事”も考えられます。
季節的な要因があるかもしれませんし、狙い通りの広告出稿が出来ていなかったかもしれません。
同じ施策でも一週間後の結果と一ヶ月後や三ヶ月後の結果では違いがあるのはよくある事で、どちらのデータが正しいのかと客観的に判断するならば、やはりデータとしての母数の大きな一ヶ月後や三ヶ月後のデータだと考える事が出来ますよね。
これは本当に一例で、今までの成功体験をなぞっただけの施策がうまくいかなかったなんてことは山ほどあります。
こういった経験から、私はなるべく新規でアカウントを組み立てていく時には”型にはめて考えることはしない”ようにしています。
成功も失敗も、今までの経験は糧とした中で目の前の商材をリスティング広告で売るためにどうしたらいいのかを「イチから考える」ようにしています。
成功体験をなぞって施策をして、うまくいかなかったとしたら「なぜだ?なぜだ?」と失敗の原因を探すようになってしまいますよね、失敗の原因を探すのは悪い事ではありませんが、ただ施策に失敗したのであればまだ良いですが”以前は成功した事をそのままやっただけなのに失敗した”というのは成功体験があるがゆえに後ろ向きの原因探求になりがちです。
そんなことしているのであれば初めから、型にはめて考えずイチから考えていき、うまくいかなかったら出てきたデータから「こういうことか」と仮説を立てて改善を考えていく、というように普通に仮説→検証→改善施策とやっていったほうがよっぽどの近道になりますよね。
今まで培ってきた”経験”は非常に大切なものでこの経験は私の今の仕事に活きていると実感していますが、経験はあくまでも経験であって、それが全てになってしまうのは変に囚われてしまうため、「型にはめない」という事をいつも心掛けています。
株式会社アイエムシー 大塚雅智