ECサイトでリスティング広告を効果的に使う際の改善策
経営者:「ECサイトの新規顧客を増やしたいんですが、広告費がかさむわりに収益が伸びないんです。改善策はありますか?」
広告担当者:「確かにリスティング広告の費用対効果に悩むケースは多いです。まず、1件あたりの獲得コスト(CPA)を見直し、適正設定できているか確認するのが良いですね。目標CPAについて、現在どのくらいで設定していますか?」
経営者:「広告費を抑えたくて、低めに設定しているんですが、効果が出にくいんです。他にできる改善はありますか?」
広告担当者:「はい、目標CPAを低く設定しすぎると、実際の広告効果が発揮されにくくなることもあります。広告の対象を絞り込んで無駄なクリックを抑えるため、キーワードやターゲティング設定の見直しも重要です。また、リピーターを含めた顧客生涯価値(LTV)を考慮してCPAを調整していくと、長期的な収益性が高まる可能性があります。」
ECサイト運営者にとって、リスティング広告で新規顧客を効果的に獲得することは収益の柱となりえます。適切な広告戦略を立てれば、興味を持つユーザーを自社サイトに呼び込み、商品購入につなげられる可能性が高まります。しかし、特に単価が低い商品を扱うECサイトでは「広告費がかかりすぎるわりに利益が伴わない」といった課題がよく見られます。そこで、以下の点を改善することが費用対効果を高め、収益性を上げる一助となります。
1件あたりの獲得コスト(CPA)の適正設定
リスティング広告運用では、1件の購入にかかる広告費であるCPAが重要です。CPAが商品の利益を超えてしまうと、販売するたびに赤字が膨らむ状況になってしまいます。そのため、多くの広告主が目標CPAを低く設定しますが、低すぎるとターゲティングが狭まり、思うように広告が表示されないことも。
広告運用を最適化するには、顧客のリピート購入も考慮し、顧客生涯価値(LTV)に基づいてCPAを調整するのが有効です。
ECサイトを立ち上げたばかりであれば、最初は広告費を含めてトントンでも新規顧客の獲得を優先し、サイトや商品の認知度を上げることが大切です。
無駄なクリックを減らして費用対効果を改善する
目標CPAを適正に設定しても費用対効果が悪い場合は、キーワードやターゲティング設定を精査して、無駄なクリックを抑えることが有効です。入札するキーワードや除外キーワード、広告グループのマッチタイプの見直しも必要です。ターゲット外のユーザーを引き寄せてしまっている広告文があれば、調整してテストを繰り返すとよいでしょう。また、時間帯や曜日、地域ごとの配信データを確認し、効果が薄い部分への広告配信を抑えることで、無駄を減らし費用対効果の改善につながります。
ただし、配信時間や曜日の絞り込みは、オフにした時間帯や曜日のユーザーを失う可能性もあり、見込み顧客を取りこぼすリスクも。慎重に過去データを分析し、ターゲットに合わせた運用が大切です。
競合増加によるクリック単価の高騰と掲載順位の改善
競合が増えてクリック単価が上がり、費用対効果が悪化しているケースも考えられます。クリック単価が高騰しても、上限入札価格を設定することで基本的には費用をコントロールできますが、競合の影響で掲載順位が低下すると、コンバージョン率が下がり、収益性が損なわれることも。掲載順位の低下による影響を抑えるためには、広告ランクを高めて広告表示の安定化を図ります。広告ランクは、広告の品質スコアと入札価格で決まるため、品質スコアの改善も重要です。品質スコアはキーワード、広告文、ランディングページの関連性に加え、アカウント全体のクリック率や広告表示オプションも反映されます。
新しい「売れるキーワード」を発掘してコストを抑える
費用対効果を上げるために、現在のキーワードに加えて、新たに売れるキーワード群を見つけることも有効です。これにより、広告効果を維持しつつ、ターゲット層を拡張できます。売上に結びついている既存のキーワードの傾向をもとに、同様の検索意図を持つ新しいキーワードを探していくと、思わぬ検索クエリが見つかることもあります。新しいキーワードの導入は、費用対効果を改善するだけでなく、新たな顧客の発掘にも役立つ可能性があり、コンバージョン数を増やす一手となります。これにはトライ&エラーが欠かせませんが、試行を繰り返しながら費用対効果の改善を目指しましょう。
リスティング広告の運用を継続し、改善を重ねることが重要
リスティング広告は、費用対効果を随時改善していける運用型広告です。ECサイトの広告予算が合わないからといって、すぐに撤退してしまうのはもったいないケースもあります。運用しながら得られるデータに基づき、状況に応じて改善点を見つけ出し、対応策を講じることで長期的な利益につながる可能性があります。リスティング広告をうまく活用し、広告投資のリターンを最大化できるよう、日々の運用を改善していきましょう。